国立伝統芸術センターの文昌祠は全国初の政府機関である行政院文化建設委員会(現在の文化部の前身)によって建立された廟宇です。主神は文昌帝君と五聖文昌で、いずれも文人と学生を守護する神で、文昌帝君の庇護の下、台湾の芸術文化を担う人材が輩出されることを祈るものです。配神は演劇の神である西秦王爺、田都元帥、孟府郎君と、工芸の神である巧聖先師(魯班先師)、炉公先師、荷葉先師となっています。台湾の伝統芸術である工芸と演劇という二大分野において、その祖師を祀ることで伝統芸術文化の継承を願うものです。
(1) 文昌帝君誕辰
この文昌祠は伝芸センター内の伝統的な町並みを再現したエリアに置かれ、信仰の中心となっています。主神は学生の試験での成功、出世と昇進を司る文昌帝君です。旧暦2月3日が文昌帝君の生誕日とされ、毎年祝賀式(祝寿大典)を行い「三献礼」の儀式やお祝いの芝居などで誕生を祝います。これらの伝統的な祭礼と推進活動を通じて、伝統的な儀礼の教えと伝統文化の特色を継承することを表しています。
(2) 魯班公誕辰
旧暦の5月7日は伝統工芸の祖師である魯班の生誕日とされています。祖師を追想する儀式には、伝統工芸の匠たちが祖師を敬うという師弟倫理と世代から世代への伝承という意味があります。
(3) 西秦王爺誕辰
旧暦6月24日が演劇の始祖である西秦王爺の生誕日とされており、毎年祝賀式(祝寿大典)を行い「三献礼」の儀式で生誕を寿いでいます。三献の祭典では、「献祖師飯」という儀式が行われます。それは台湾語の「祖師飯は粘る」という言葉から来ており、「一旦専門の仕事に就いたら、その仕事で食べていかなければならない」ということを表していて、とりわけ伝統演劇を一生の仕事にするなら、もち米のように一生粘り強くやっていかなければならないということを示しています。そして祖師の「飯」にはまた「祖師が頼りです。どうか飯が食べていけますように」と願う意味もあります。また「祖師飯」はさらに、「一旦芝居と関わりを持ったら、たとえ本業でなくてもそれは天職となる、だからともに伝統演劇の振興に努めよう」という意味になるとも言えます。
(4) 中元普渡
旧暦7月15日には台湾の民間信仰を融合した重要な宗教行事があります。伝統的な儒教の教えでは祖先崇拝を重視しており、中元節には「薦新祭祖」と言って、収穫したばかりの農作物を供えて祖先を祭ります。また仏教では「盂蘭盆会」(うら盆)を行い、道教では地官大帝の生誕を祝います。つまり、儒教、仏教、道教ともに中元節に行事を行うのです。また、旧暦の7月は俗に「鬼月」とも言われ、7月1日になった途端あの世の門が開くと信じられており、門が閉まる7月29日までのひと月の間、人々は災厄を避け、万事が順当にいくよう、各地でさまざまな祭典が催されており、とりわけ旧暦7月15日が中元節の祭典のハイライトとなっています。